2017/12/31 ミュージカル黒執事(生執事) Tango on the Campania感想【ネタバレあり】
ミュージカル黒執事、通称生執事の新作公演の初日を観劇してきました。
まだあと6回分チケットはあるのですが、初日に観た感想を記録に残したいので書きます。
演劇は生物だから、その日にしか生まれない演技がある。それと同じように、観客も生物だから、感想もその時々でいいよね。
シレっとめちゃくちゃヨカッタ生執事最高!!とか言うかもしれませんが、慣れとか自分の中でかみ砕いて受け入れるとかそういう過程を経ての話なので、まずは初日の素直な感想を残すよ。
以下、めちゃくちゃネタバレします&否定的な感想を多く含むので見たくない方はブラウザバックでお願いします。
さて、今回は黒執事の章の中でも人気の高い豪華客船編ですが、
副題:Tango on the Campania
脚本:Two hats Ltd.
演出:児玉明子
音楽:和田俊輔
シエル・ファントムファイヴ:内川蓮生
という面々。
脚本と演出家さんが変わってますね。
ここで率直な感想を書くと、個人的にはイマイチだったなと感じました。
いえ、私が原作過激派なのももちろんあるのですが…
役者陣はメインキャストもアンサンブルさんもものすごく頑張っているのが伝わってくるし、セットも大がかりなものが用意されていて、それはすごく良かったです。
もともとファンタジーだし豪華客船編は現実的に考えて再現不可能な場面も多い、かつキャラクターも多いのでカットされる場面が出ることもある程度織り込み済みで、駆け足になってしまうのも仕方ないかな~と思いながら見ていました。
でも何だろうな…そういうのを踏まえてみてもここだけは掛け違えないでほしかった!というボタンが掛け違えてしまった、という感じです。
氷山にぶつかった後、坊ちゃんやリジーがいる貨物エリアが水浸してしまう。ダクトから脱出する時の、坊ちゃんとリジーの会話。
服を脱げ!という坊ちゃんに、「イヤ!私、シエルの前では最後まで可愛い姿でいたいの」と嫌がるリジー。ここまではまあ原作通りなのですが、
「死んだらなにもかもおしまいなんだ!僕の家族のように…だから…生きて一緒に帰ろう」※うろ覚えです
と続く坊ちゃん。
え、えええ~~~~~?????????
となりました。ここで完全に冷めてしまった…
坊ちゃんにとって両親が殺されたあの日のことはものすごく暗くて重い部分だと思うんです。
だから、相手がたとえリジーであっても僕の家族は…とか、思っても口に出さないんじゃないかなって。
「死んだらなにもかもおしまいなんだ!」の一言で、原作読んでなくてもわかるじゃないですか。
で、そのあとのリジーの回想で両親を殺されたこともわかる。たった一人になってしまったこともわかる。
正直ここでがっかりしすぎてその後の展開が今あまり思いだせませんね・・・
暁学会の会合に潜入する場面の金髪坊ちゃんもなぜカットした!!!?
いや時間が足りないのはわかる。展開が多いからカットしたのはわかる。でも見たいところだったよ~~~~大体前提条件として「正体がバレないように」するために変装するのであって、演出の都合上そういう前提そのものからカットされることが嫌だ…
これは原作過激派の意見だなってことはわかってる。わかってるんだ。
アバハンのシーンすごく楽しかったしアバハン大好きだけど、そこをもう少し短くしてでもそういうところを入れてほしかった。
いやアバハンは大好きです。20年やってまだ初段のあのポーズやってくれてよかった。
後半は演出で気になるところがちょこちょこありましたね。
船も本来は片方が沈んで縦になっているところを、役者さんたちがどうにか表現しようとしていたけど、最後葬儀屋がデスサイズでたたっきるところは普通に浮かんでる船だったので、うん??となったり。
せっかくリアンが滑車で落ちていくのを表現したのにね。さすがに笑いました。めちゃスピーディ。
でもあれこそ原作読んでないと状況分からなくないか?
台詞はめちゃくちゃ追加されてるけど、それよりも船の戦闘シーンとか沈み方とかを舞台ナイズしてくれたらよかったのに。
普通に高さのあるセットがあるだから、それをうまく使えばよかったのにと思ってしまう…葬儀屋の遺髪入れのくだりも、小さいから座席からでは全然わからない。映像バンバン使ってるけど、そういうものを見せるのに効果的に使ってくれたら良かったなあ。
演出に関して言えば、Tango on the Campaniaと副題が付けられていたので、タンゴ要素あるのかな~と思ったらそれもよくわからず…
また、今回の音楽はマッチするところとマッチしないところの差が激しいと感じました。良いのはとても良いんだけど、時々ここでこの音楽・・・?と感じるところがあります。まあこれはほんとに好みの問題かな。劇場版があまりにも良すぎたというのもあると思います。
セバスチャンの嗚呼~の歌、リジーの歌、セバスチャンと坊ちゃんの回想シーンの歌らへんはすごく良かった。
冒頭のカンパニア出航の曲と演出はすごく良かったですね、ああこれから始まるんだなあっていう。ディ●ニーミュージカルかと思った。女性がいるのもいいですね。
ここが一番泣きました。でもゲネを観に行った某俳優さんの「歌が綺麗でした!!」の感想ツイートを思い出してフフッてなったよね。
全体的にちょいちょいぶつ切り感というか、特に前半は間がなくて感じ入る隙が無いので、それが見ててしんどかったかな。でもこれはサーカスの時も思いました。
ちょっとした間の取り方とかは、これからどんどんブラッシュアップされていくと思います。
間の取り方で行くと、葬儀屋の和泉さんが本当に素晴らしいので、彼が続投してくれて本当に良かったです。
ブロマイドはもちろん買いました。
たぶん、とりあえず背の高いイケメン俳優連れてこられたらあの雰囲気は出なかったと思うし、和泉さんはちゃんと「待つ」演技ができる方だと思います。(背の高いイケメン俳優をディスってるわけではないです)
私は舞台に立つ人間ではないけれど、プレゼンとかそういうもので人前に立つことって誰でもあるじゃないですか。
そういう時に、無音の瞬間って怖いんですよね。つまらないと思ってるんじゃないか、飽きてるんじゃないか、って。でもそれを待つ。溜める。溜めてから解放する。その間の取り方が本当に素晴らしい。
だからこそ葬儀屋の不気味さとか、底知れない強さとか、そういうものが表現されるのだと思います。
大拍手!!
キャスト陣に対しては、セバスチャンも坊ちゃんも続投だし、大活躍のグレルもたっくんで、基本的に不安なところはなく見れました。
古川スチャンほんとにスゴイ。今までよりも大げさな演技が増えたかな。でもセバスチャンってもともとけっこう遊びのあるキャラというか、賢そうに見えてなんでも拳で解決する肉体派だし、セバスチャンへの解釈は割と自由度高い。
契約前の「違う…違う…違う…」とか大変に楽しそうで良かったし、歌も古川さんの魅力を引き出していました。相当難しい歌だと思います、あれは。
坊ちゃんは背が伸びてました。でもスラっと華奢で細くて、でもお顔はまだ丸みがあって更にぼちゃみが増していました。ほんとに可愛い。れお坊ちゃんで「僕に勝利を!」が見れて良かった。れお坊ちゃんを生み育ててくれたご両親にまず感謝したい。
リジーはまだ遠慮がちだったかな。もっとぶっ飛んでもいい。初日以降の感想ツイートを見る限りすごく良くなっているみたいなので、観るのが楽しみです。
しかしまあ舞台の醍醐味でもあり弱みでもありますね、内容がブラッシュアップされてどんどん良くなっていくというのは。でもそこも含めて初日を観に行っているというのはあります。
久しぶりのグレルは本当に最高でした。本当に氷山(物理)に乗って登場したのはさすがでした笑
ダンスはもっと見たかったな~。
グレル、実は原作では長いことでなかったり登場するスパンがかなり長いんだけど、存在感めちゃくちゃあるからすごいよね。
書き出すとキリなく書いてしまうけど、こしゃくは当然のようにこしゃくだったし、ミッドフォード家もよかった。
ヒデさまの怪我が心配だっただけに、無事出演できて安心しました。
登場しただけで笑いと拍手が生まれるこしゃくの存在感と空気づくりすごいですね。
今回アンサンブルさんもかなりの人数出演していますが、マギー役の人すごかった。人体ってあんな動きできる?っていう…。
アンサンブルさん大活躍です。
児玉さんの前評判はちょくちょく見ていたのだけど、脚本のTwo hats Ltd.というのがどなたか気になりますね。
wearing two hatsで一人二役の、とかそういう意味があるようですが。
やな先生やクマさんは、最終的なチェックはするけどプロに任せるべきところは任せるというスタンスだと思うんですよね。それに、二人にしてはセリフ回しが違うかな~と個人的には感じるし…
でもあえて名前を隠すメリットって、脚本家さんからしたらあるんでしょうか?
2.5に関わってると知られたくないとか?
通常ならば、自分の実績になるわけだから、隠す必要もないですよね。
う~ん気になる。
とりあえず、明日2回目を観に行くので、まっさらな気持ちで改めて感じたいと思います。